トラブルやいさかいとは?

ODR とは何か?

• インターネットのサイバースペースなどで起こるトラブルを交渉、調停、または仲裁 などの方法によるオンライン上での解決。Online Dispute Resolutionの略語。

• E-メール、チャット、TV会議などのオンラインコミュニケーションを駆使して、現実社会で起きるトラブルや 紛争のオンライン上での解決。

• オンラインや現実の問題の、オンラインを使っての防止。

• ODRのメリットは、オンラインを駆使することで、解決にかかるコストや時間が節約できること、国境を越えた紛争や現代の多様化した問題への対応が可能になること。

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Conflictとは何か?

日本語では、「紛争」と訳されている単語ですが、これでは、規模が大きい国家間やイデオロギーの違いによる対立のみを指して いる印象を与えます。しかし、英語の“Conflict”には、幅広い意味があります。Conflictのレベルは、自己の中の葛藤に始まり、 個人間のいざこざや、ご近所とのもめごと、取引先とのトラブル、さらには、社会や国家、そしてイデオロギーの問題まで含みます。 ですから、これらすべてを「紛争」と訳すことは適切ではありません。ですので、ここでは、トラブル、もめごと、などと訳す場合と 英語をそのまま使う場合があることをご了解ください。

始めに、「もめごと」「トラブル」というと、マイナスな印象がありますが、決してそうばかり ではありません。トラブルの中には、前向きなものもあります。例えば私たちは皆、それぞれに価値観というものを持っていますが、 それが、他の文化や考え方に出会うことにより、自分自身変化していきます。 ただしこの場合、新しい考えに対応できる柔軟性が必要です。そして全ての当事者たちが受け入れられる結果 を考え出そうという見方、さらに競争と協力が均衡をとっていることが鍵となります。

さて、トラブルの原因としては、先ほどの価値観の違いの他に、年齢や性別の違い、性格の不一致、誤解、 倫理観の違いなどいろいろ考えられます。

そして、トラブルに面した時の対処の仕方も人それぞれでパターンがあります。問題回避型、協調型、競争型、妥協型,そして、 協力型などです。最後の協力型が、Conflict Resolution が目指すものです。 社会の調和を大切にする日本人の多くはConflictを避ける傾向 にあると言われています。ですから、欧米に比べると個人の訴訟数も少ないです。しかし、ともするとこれは、黙って問題回避することになり、 心にわだかまりを残すことも考えられます。一方、米国人の多くは競争型だといわれています。ですから、訴訟という白黒つける解決方法を 好みます。このどちらでもない、両者が歩み寄って、しかも後の味悪い思いをしない方法を”Collaboration"と呼びます。これを、”Win-Win  Solution”と呼び、両者ともが勝つという考えです。もともとは、ハーバード大学のロジャー・フィッシャー教授とウィリアム・ ユーリー教授共著の「ハーバード流交渉術」から来ています。

また、人はそれぞれConflictに係わっていくパターンも違います。権力行使型、権利主張型、利益追求型、主義主張型、そして、操作型などがあります。

権力行使型は、破壊的、かつ暴力的になることもあります。戦争などがその一例ですが、もめごとが原因の家庭内暴力も含まれます。

権利追求型は、自分たちの法的権利などを主張することが挙げられます。高速道路建設などで、自分の家の庭を通るため敷地を 売却するような要請があった場合、住人の中には、立ち退き反対を主張する人もあるでしょう。これは自分の権利に基づいています。

利益追求型は、自分たちの必要性を説いていきます。例えば、夜7時の門限時間を延ばしたい子供たちは、自分は 夜間の塾に行くから門限を夜10時にして欲しいという正当性のある理由を述べながら、自分の欲望である「門限延長」を達成しようとします。 この場合は、利益追求型に入ります。

主義主張型は、何が正当で正しいか、ということを主張します。何が公平、正義、合法的で、道理が通るかということを主張します。 例えば、ある業者と委託会社の間でトラブルが発生した時、その業者がプロとしての規則に反したと主張したり、その委託会社との契約書が 人道的でないと主張したりすることです。

そして最後の操作型は、嘘で固められている場合は破壊的な結果を招くのが常ですが、うまく使えば双方が満足する結果を招くことができます。例えば、電子商業取引で品物の交換を依頼するような場合、その返品のための送料は買い手が負担するから、売り手に新品の送料を負担してもらう、というようなやり取りも可能になります。

Conflict Resolutionとは、何か?

Conflict Resolution、又は、トラブルの解決は、感情のもつれによるこじれた人間関係から人種差別の問題、さらに宗教闘争などの幅広い争いごとへの対策を提案し解決していくことです。最近では、Dispute Resolution (DRが略語)という語も使われるようになりました。Disputeには、葛藤や紛争という意味よりも、議論、口論など、意見の食い違いの意味が少し多く含まれています。米国では、すでに多くの大学や大学院の専門分野として研究がなされています。

訴訟の多い米国では、このどちらか一方が勝ち、どちらか一方が負けるという敵対関係の解決法があまり有効ではなく、さらには、時間やコストが多くかかるという意見が多くなりました。このことから、近年、交渉、仲裁、調停などの方法が盛んに使われるようになりました。

小額裁判でも、例え訴訟に勝っても原告がお金を回収するためには、大変な作業を要します。大概は、回収機関にお金を払って 勝ったそのわずかなお金を回収することになりますが、これには金額の大小にかかわりません。勿論被告のクレジットヒストリには傷がつき、 支払わなければ、その後7年の間、車や家などの大きいな買い物をしたり、また銀行から借金をしたりする時の 金利が大変高くなってしまいます。ですから、両者にとって、 訴訟以外の問題解決方法は大変有効なものとなります。

特に人種のるつぼである米国では、文化、伝統、言語などの違いによる誤解から生まれる紛争も多く、そのような場合、 訴訟以外の紛争の解決方法が大いに役に立ちます。

世界のグローバル化が広がるとともに、このような問題も一つの国の法律で解決するのが困難になりつつあります。その場合、 法律どうしが抵触し、どちらの法律に則るのかという問題も生じ、紛争を複雑化していきます。そのような場合、Dispute Resolutionでは、 法律に必ずしも縛られないで、当事者同士の考えで解決方法を目指します。

1960年代の頃より、米国の司法裁判所の負担を減少させるべく、従来の裁判とは違った新しい解決手法であるAlternative Dispute Resolution、通称ADR が急速に伸びてきました。 従来の敵対的相互関係をつくる訴訟に対して、当事者同士の話合いによる解決方法です。 1960年代より、人種差別、性差別など新しい法律が米国で生まれるのにともない、裁判所に申請される訴訟数も比例して伸びました。 そのため、裁判にかかる時間や、費用の負担が大きくなり、さらに、手続き上の間違いも多くなるという事態を招いたため、ADRが裁判所の負担 を軽減するということで、使われるようになりました。最近では、スポーツもオリンピックを始めとして世界競技が増えました。また、 有力な選手たちは国境を越えて他の国々でプレーするようにもなりました。このような状況でおこるトラブルはADRの一つである仲裁で 解決されています。詳しくは、EC Networkの説明を参照ください。

ODRは、コンピュータの進歩に伴って盛んになってきています。現代では、証拠の開示などもオンラインによってできるようになり つつあり(e-discovery)、現実のトラブル処理にもコンピュータは欠かせない存在となっています。1990年代、Ethan Katsh、Janet Rifkin 両教授やColin Rule氏などの先駆者が本や学会誌で形作ってきました。もともとは、ADRの手法をオンラインでも行うというものでした。 さらには、人間が介さないコンピュータによるオートマティックな交渉(Automated Negotiation)なども行われるようになりました。 ODRには、ADRの対処療法的措置の意味だけでなく、それを一歩進めて、 紛争防御という能動的な働きも含まれています。

オンラインの複雑性

インターネットによって、私たちの生活も便利になりました。情報の交換から始まり、次にはコミュニケーションの手段にもなり、 さらに、WEB2.0により、コミュニティーが形成され、ソーシャルネットワーキングまでサイバースペースでできるようになりました。 次のWEB 3.0は、サイバースペースと現実をさらに一歩近づける方向に向かっています。すばやくオンライン情報を得ることによって、 自分のパーソナルライフを充実させていこうというものです。

しかし、オンラインは相手の顔が見えない分、問題も生じやすく、複雑化しやすい側面があります。 正体を明かさないのを良いことに詐欺や罪を犯す人間ができたため、もともと正直な人間たちの信用で成り立っていたサイバースペースの秩序が狂いはじめました。

また、トラブルが発生しても、相手と面と向かって話し合えば単なる勘違いで済むことも、顔や動作が見えない分、 トラブルの問題が大きくなることもよくあります。そのようなサイバースペースで起きた問題や、インターネットのコミュニケーションを 使って実際に起こっている問題の解決策を提案し、さらに、そのようなもめごとを防ぐための情報などを提供することがODRの役目です。

訴訟に比べ、旅費をかけて相手との話し合いに行く必要もなく、時間もコストもかかりません。さらに、 時差のあるコミュニケーション ができるため、ものごとを冷静に考える時間が得られることも利点の一つだといわれています。 相手の反応が直接見られないことから言語以外のコミュニケーションに欠けることが大きなハンディーとなるという意見もありますが、 多くの場合、相手と顔を合わせたくないのが 当事者たちです。その代わりに弁護士を雇っていたのですから。 顔を合わせる場合には、TV会議方式を使用することも可能ですが、対面しているよな臨場感を出しつつ、さらに言語以外の細かいニュアンスを 必要とするのであるならば、今のところヒューレットパッカード社の”Telepresence" のように 高性能、高画質のものが必要です。しかし、今のところコスト的に合いません。

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